電子定款認証 (0) はじめに
0.1 本書の位置づけ
平成19年4月1日から電子公証制度を使った定款作成・電子定款認証がスタートして便利(?)に、そしてお得(4万円も!)になりました。
ところが、電子定款認証の方法と手順はややこしく、少し分かりにくい表現で書かれた複数のサイトを呼んで理解しないといけません。これがとても大変。そこで実体験に基づき電子定款の作成から定款認証を受けるまでの方法・手順をなるべく分かりやすく、そしてシンプルに纏めてみました。
会社の設立には定款を作成し、認証を受けた上でと法人設立登記をする必要がありますが、定款の中身(文章作成)や、法人設立登記については、各種サイトや書籍で分かりやすくまとまっているものがありますのでそちらに任せるとして、このサイトではまだ世間に情報が不足している「電子公証制度を用いた定款作成・電子定款認証」についてのみ記述しています。
0.2 編集方針
電子公証制度を利用するにあたって様々なwebサイトやマニュアルを参照する事が必要ですが、全貌を把握するのは困難です。そこでこのサイトでは、webサイトやマニュアルを使用する順番ややるべき事の全貌を示しました。当サイトでは各マニュアルには詳細が書かれているのでそちらへのリンクを掲載し、マニュアルの参照すべき箇所を示しています。ただし、マニュアルでは分かりにくい箇所や特に注意すべき箇所については当サイトに記述するように心がけました。
0.3 免責事項
内容については、法務省のオンライン申請システムや公証人役場のホームページ、そして実体験に基づき、正確な記述になるよう細心の注意を払いましたが、少しばかりの間違いがあるかもしれません。このホームページを参照して生じた損害について当方は一切の責任を負えませんので、必要に応じて法務省や公証人役場、他サイト、文献などで合わせて内容をご確認ください。また、間違いや制度が変更されていることを発見された場合や、何かお気づきの点・ご意見ご要望などがありましたら、ぜひご連絡下さい。
0.4 目次
電子定款認証 (1) 事前準備
電子定款作成マニュアル目次
「2.定款の作成」は時間を要するものであり(審査待ち時間など)、「3. 電子署名」からここで準備する住民基本台帳カード、ICカードリーダーが必要になります。そこで、定款の作成前か定款の作成と並行して行うと効率的な作業が可能になるので、平行して行うことをお勧めします。
1.1 住民基本台帳カードを発行してもらう
【なぜ行うか】署名を行うために必要な電子証明書(本人確認をするために必要な電子的な証明書)の取得のため。
【やることの概要】住民基本台帳カードを入手します。
電子証明書を取得するにはいくつかの方法がありますが、ここでは一番安く取得できる方法を紹介します。
住民基本台帳カード…電子署名(後述)を行う際に、個人情報を入力するために用いられるものです。入手するには運転免許証などの官公署が発行した写真付きの証明書、市区町村が条例で定める手数料(約\1,000)発行までにかかる時間は1〜2時間です。
【参照資料】
総務省 住民基本台帳カード
(http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daityo/juki_card.html)
1.2 ICカードリーダーを購入する
【なぜ行うか】住民基本台帳カードの情報をパソコンに読み込ませるのに必要だから。
【やることの概要】ICカードリーダーを入手します。
ICカードリーダー…お住まいの市町村で指定された機種がございますが、販売されている一般的な機種で大概は使うことができるので、以下を紹介します。
【参照資料】
http://www.yodobashi.com/enjoy/more/i/22422871.html
1.3 フロッピーディスクを購入する
【なぜ行うか】公証人の認証が終わった電子定款を電磁記録として保存するため
【やることの概要】電気店等でフロッピーディスクを2枚以上購入してください。
※実際には公証人役場で用意してくれている場合があります。
1.4 手数料を準備する
認証された電子定款を公証人役場で受け取るときの手数料は5万円から6万円です。電子公証制度は紙媒体での定款申請に必要な4万円を節約できます。
1.5 事前にマニュアルを印刷する
各種マニュアルは量が多く、種類も豊富なのでは事前に以下を印刷しておくことをおすすめします。
法務省オンライン申請システムPDF署名プラグインのインストール(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_PDF.html)の画面からインストールガイドをダウンロードしてください。
3.1で使用します
法務省オンライン申請システムPDF署名プラグインのインストール(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_PDF.html)の画面からPDF署名プラグインの操作ガイド(三菱電子署名ソフトウェアMistyGuard<SignedPDF>(署名機能限定版)操作説明書)をダウンロードしてください。
3.1で使用します
法務省オンライン申請システム事前準備操作ガイド(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi.html)の「ダウンロード」アイコンからダウンロードしてください。
4.1で使用します
法務省オンライン申請システム操作ガイドのダウンロード
(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_guide.html)の申請者操作ガイド【一般申請編】の「ダウンロード」アイコンからダウンロードしてください。
4.2で使用します
電子定款認証 (2) 定款の作成
電子定款作成マニュアル目次
電子定款とは従来の紙媒体での定款の提出とは異なり、パソコンを使用し電子ファイルで提出する方法の事を指します。
ここでは会社設立に必要な定款の文章を作成し、PDF化するまでの手順を説明します。
定款とは会社の基本的な規則(株式の発行数や役員の任期など)を記したものです。法人設立登記を行う為に公証人役場で定款を認証してもらう必要があります。
2.1 定款の文章を書く
【なぜ行うか】指定公証人にオンライン申請に通るように審査してもらうため。
【やることの概要】電子定款には紙を使わず、パソコンで作った文書を使用します。まず始めに、定款を作成するために日本公証人連合会HPで定款例(http://www.koshonin.gr.jp/index2.html)を参考にしながら文書の文言を書きます。
2.2 公証人に定款をチェックしてもらう
【なぜ行うか】本申請(?オンライン申請)で不備が見つかると、その間の手順を全てやり直さないといけないため
【やることの概要】次に作成した定款に不備がないかを指定公証人チェックしてもらう必要があります。会社設立の為の定款認証は会社・法人の本店所在地を管轄する法務局・地方法務局の公証人でなければ取り扱うことができないことになっているので、公証役場(http://www.koshonin.gr.jp/index2.html)に問合せ、定款認証をしてほしいという旨を伝えます。役場にもよりますが、電話やメール、対面によって修正箇所を指導してもらうことができます。定款が完成すれば?-3に、定款に不備があれば?-1に戻り、問題の無い文章になるまで修正を繰り返します。確実に本申請に通るように厳密なチェックが行われます。
2.3 定款をPDFに変換する
【なぜ行うか】電子署名はPDFファイルに対して行うため。
【やることの概要】Adobe Acrobat というソフトウェアを使用して、wordなどで作成された定款をPDFファイルに変換します。PDFファイルにできるのであればソフトウェアは特に指定する必要はありませんが、電子署名を行うためにAdobe Acrobat 5/6/7のいずれかを使用することになります。しかし、2007年6月26日現在Adobe Acrobat 8しか販売されていなく、8はまだプラグインに対応していないので法務省が対応するまで8では電子署名ができません。ちなみに
Adobe Acrobat 7の体験版(Adobe Acrobat 7の体験版ダウンロード)を使用し、動作確認を行うこともできます。そうしてwordなどで作成した定款をPDFファイルとしてパソコンに保存します。
電子定款認証 (3) 電子署名
電子定款作成マニュアル目次
電子定款が本人によって作成された文書という事を証明し、また、改ざん、成りすましをされていないという証明ため、電子署名を行います。
3.1 PDF署名プラグインをインストールする
【なぜ行うか】Adobe Acrobat だけでは電子署名できないので必要なソフトをインストールします。
【やることの概要】作成した電子定款に署名を付加するために法務省オンライン申請ページのPDF署名プラグインのインストール(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_PDF.html)からPDF署名プラグイン(http://shinsei.moj.go.jp/download/SPDFGA00)をダウンロードし、インストールします。
【参照資料】
三菱電子署名ソフトウェアMistyGuard<SignedPDF>(署名機能限定版)操作説明書 1.3クライアントセットアップ(p.6〜20)
まだマニュアルを印刷していない方は法務省オンライン申請システムPDF署名プラグインのインストール(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_PDF.html)の画面からPDF署名プラグインの操作ガイド(三菱電子署名ソフトウェアMistyGuard<SignedPDF>(署名機能限定版)操作説明書)をダウンロードしてください。
3.2 電子署名をする
【なぜ行うか】電子定款が本人によって作成された文書という事を証明し、また、改ざん、成りすましをされていないという証明ため、電子署名を行います。
【やることの概要】実際に署名を付加します。発起人のうちの1人の住民基本台帳カードを挿入したICカードリーダをパソコンに接続し、内容を読み取らせます。パソコンに保存した定款PDFファイルを、Adobe Acrobat5/6/ 7で開き、定款に電子署名を付加します。発起人が複数いる場合はカードを入れ替えて同じ手順で電子署名を行います。
【参照資料】
三菱電子署名ソフトウェアMistyGuard<SignedPDF>(署名機能限定版) 2.2署名の実施。(p.21〜29)。
まだマニュアルを印刷していない方は法務省オンライン申請システムPDF署名プラグインのインストール(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_PDF.html)の画面からPDF署名プラグインの操作ガイド(三菱電子署名ソフトウェアMistyGuard<SignedPDF>(署名機能限定版)操作説明書)をダウンロードしてください。
電子定款認証 (4) オンライン申請
電子定款作成マニュアル目次
定款の申請は法務省のオンライン申請システムを使います。法務省からオンライン申請システムの操作ガイド(マニュアル)が出ていますが、全て読むと時間がかかります。大まかな流れは、必要なものをインストールして、定款文書の添付と電子証明書を添付して法務局に送信するというものです。
4.1 オンライン申請の準備をする
事前準備操作ガイドは当サイト4.1に、申請者操作ガイド【一般申請編】は4.2に対応しております。事前準備操作ガイドをまだ印刷してない方は、法務省オンライン申請システム事前準備(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi.html)のページから、申請者操作ガイド【一般申請編】をまだ印刷していない方は法務省オンライン申請システム操作ガイドのダウンロード(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_guide.html)のページから、
それぞれダウンロードし、印刷してください。なお当サイトでは事前準備操作ガイド第1.5版、申請者操作ガイド【一般申請編】第1.1版に基づいて説明しております。
4.1.1 JREをインストールする
【なぜ行うか】後で使うオンライン申請システムを作動させるため。
【やることの概要】Archive: Download Java 2 SDK, Standard Edition, v 1.4.2_11 (J2SE)
(http://java.sun.com/products/archive/j2se/1.4.2_11/index.html)
からJ2RE ソフトをダウンロードしインストールします。
【参照資料】事前準備操作ガイド第2章3.2JREインストーラの取得、3.3JREのインストール手順(p.20-26)
4.1.2 オンライン申請システムをインストールする
【なぜ行うか】申請に必要なソフトウェアであるため。
【やることの概要】法務省オンラインシステムのオンライン申請に必要なプログラム環境とインストーラのインストール(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_installer.html)からオンライン申請システムをダウンロードし、インストールします。
【参照資料】事前準備操作ガイド第2章4.2インストーラのダウンロード、4.3インストーラのインストール手順(p.28-33)
4.1.3 申請者の情報を事前に登録する
【なぜ行うか】法務省オンライン申請システムのアカウントが必要なため。
【やることの概要】法務省オンライン申請システムのユーザー登録(http://shinsei.moj.go.jp/doing/index.html)からユーザー情報を入力し、登録します。
【参照資料】事前準備操作ガイド第2章6.申請者情報事前登録(p.38)
4.2オンライン申請する
申請者操作ガイド【一般申請編】をお持ちでない方はこちら(http://shinsei.moj.go.jp/usage/zyunbi_guide.html)
からダウンロードし、印刷してから以下の操作を行ってください。なお当サイトでは申請者操作ガイド第1.1版に基づいて説明しております。
4.2.1 ログインする
【なぜ行うか】法務省オンライン申請システムを利用するため。
【やることの概要】法務省オンライン申請システムのログインページ(https://shinsei2.moj.go.jp/rcvpkg/)からパスワードを入力してログインし、メインメニューの申請・届出ボタンから手続き様式保存まで進みます。
【参照資料】申請者操作ガイド【一般申請編】第2章3.メニューからの選択(p.14-18)
4.2.2 定款を添付する
【なぜ行うか】作成した定款を公証人に届けるため。
【やることの概要】申請メニューの添付書類ボタンから?で作ったPDFファイルを添付します。
【参照資料】申請者操作ガイド【一般申請編】第2章4.2.1c)添付書類(p.33-36)
4.2.3 デジタル署名を付加する
【なぜ行うか】法務省オンライン申請システムから申請している人間が本人であることを証明するため。
【やることの概要】申請メニュー画面から、住基カードICカードリーダーを使ってデジタル署名を付加します。
【参照資料】申請者操作ガイド【一般申請編】第2章4.2.1g)デジタル署名.ア)ICカードの場合(p.43-44)
4.2.4 送信する
【なぜ行うか】定款文面を、公証人役場に確認してもらうため。
【やることの概要】未送信手続き一覧画面の送信実行ボタンから送信、到達確認表保存まで完了します。なお、到達確認票の申請者番号を印刷しておくとは公証人役場に行くとき便利です。
【参照資料】申請者操作ガイド【一般申 請編】第2章4.4申請データの送信4.5申請意思の確認4.6到達確認票の保存(p.59-66)
4.2.5 公証人役場に電話をかける
【なぜ行うか】受け取りまでの手続きををスピーディに行うため。
【やることの概要】送信したら公証人役場に電話をかけ、作業が終了したことを伝えます。その後役場の処理が終了したことを電話で受けます。
電子定款認証 (5) 定款の受け取り
電子定款作成マニュアル目次
公証人役場から電話をもらったら、認証が終わった定款を受け取りに行きます。
5.1 定款を受け取る【なぜ行うか】会社保存用と登記用の定款を受け取りにいくため
【やることの概要】お近くの公証人役場に行って申請番号を見せ、手数料を払い、保存してもらったフロッピーディスクと、会社保存用定款・登記申請用定款を紙媒体で受け取ってください。
電子公証制度では紙媒体での定款申請に必要な4万円を節約できます。
※手数料詳細
定款認証50000円
電磁記録の保存300円
同一の情報の提供1400円
定款書面1枚につき20円計
53000円程